DOGS AND BOOKS

人生は犬と一緒に歩いて身近な自然にかくれた秘密を探す旅。とくに犬に学ぶ旅は終わりのないライフワーク。

テルモの寝床と動物福祉

テルモの寝床
テルモのクレートを撮影するためにちょっと入ってもらいました
テルモの寝床その1ですね。だいたいドアをはずしてあってこんな感じ。
敷物やクッションを入れてあるんだけど、夏が近づくと自分で全部よけています
暑いんでしょうね。
このほかにテルモの体より大きなビーズクッション=寝床その2があります。
冬場はそこにずっぽり埋まって仰向けになって寝てたりします。
そして、今のウチに引っ越してから期せずして寝床その3が。
和室の押し入れの下段は空っぽなんだけど、風を通すために常時引き戸をオープンしていまして。
ある時、偶然そこにテルモの冬用布団を片付けたつもりで入れて置いたら、なぜだか夜中にそこに入って寝ていた…

寝床その1のクレートは車移動の時には後部座席に積んでテルモを載せています。


さて、犬の寝床の広さについて犬猫適正飼養推進協議会(長いね)というところが数値基準を審議会に提出しました。(2019年11月25日第53回動物愛護部会にて)
このホニャララ協議会は、ペット関連業事業者6団体と一般社団法人ジャパンケネルクラブ公益社団法人日本獣医師会の8団体からなっています。

数値基準が提出された審議会の正式名称は中央環境審議会動物愛護部会(これも長いね~)。
これは、動物愛護法の施行にあたって法律を所管する環境省有識者や関連する人々の意見を集めて検討する会…。
つまり、2019年6月に改正された動物愛護法を施行するための準備会議って感じですかね。

その会議の時に、「動物を取り扱う事業者が犬猫を飼う時の飼育スペース」に関して参考として提出した数値基準があるということなんです。(こちら↓)

https://www.env.go.jp/council/14animal/mat53_2-4.pdf



これによると、飼育スペースは「寝床」と「生活エリア」からなっている。
その寝床は

犬が立つ、向きを変える、横たわる、伸びをするな どの自然な姿ができること

としていて、具体的数値として

高さ=体高×1.3倍   幅(短辺)=体高×1.1倍

という基準を示したということです。
体高というのは地面から犬の背中までの高さです(頭までではありませんヨ)。

そして、この寝床以外に必要となる「生活エリア」は

犬が歩く、向きをかえる、壁にふれずに尾をふる、 遊ぶ、後ろ足で立つ、他の犬にふれずに横たわる、 排便・排泄をしても体が汚れないこと 

としてこちらについては特に数値基準は設けないと。




寝床に関する基準を設けてくれたところまでは良かったのですが、生活エリアについては定性的な言及しかないというところが不安材料ですよね。

悪徳業者は「法律には基準はない」という言い逃れでこの寝床だけをあてがって、その小さなケージに押し込めっぱなしで繁殖・飼養するのではないかと心配になります。

これでパピーミルがなくなるの…?

SNS上で多くの方がこの数値基準について抱く不安はもっともだと思います。
生活エリアについても、数値基準を設けないと如何様にも逃げ果せてしまう。

ちなみにテルモの体高は56㎝
なので寝床基準によると高さ72.8㎝、幅61.6㎝以上が必要となります。長さについての規定はないようですが、写真のクレートは高さ、幅ともに約10㎝ずつ足りませんでした
寝床その3はもっと広く天井高は83㎝でした(だって押し入れ下段ですから)。

テルモは、夜中にケージの中で床が温まってくると冷たい床の上に移動して寝ています。
私たちも暑いと、知らぬ間に足が布団からニョキッと出てたりね。
テルモは季節によっては皮膚が痒くなることがあって、夜中に痒みのせいで起きてきたりします。
そして私の枕のところで「掻いて~~。」と鼻先をゴシゴシ。
小さいケージの中だとそういうことも出来ない。
クレートの大きさが十分だったとしても、それだけですべてOKなわけではない…。
自由に居場所を変えられるとか、居場所自体を動物自身がアレンジできるとかそういう環境設定も。

これを「動物福祉」と言うには、あまりに小さなこと?
でも、その小さな環境を整えていけるかどうかは、ひたすら飼育者次第なわけで。

動物愛護は人間主体であるのに対して、動物福祉は動物主体である

というのは、先週までe-learningで受講した動物福祉市民講座で言われていたこと(たしか)。
人間目線で与えたものに『こんなにやってあげている。』というのでは人間主体。
動物福祉とは、動物自身が決められる自由があるかどうか?ということを言っているのかもね。


さて、みなさんのお宅の動物さんたちの寝床はどんなですか