DOGS AND BOOKS

人生は犬と一緒に歩いて身近な自然にかくれた秘密を探す旅。とくに犬に学ぶ旅は終わりのないライフワーク。

嬉しいことを予測するとき


昨日のブログで「犬らしく食べる?」と題して次のように書きました。

 黙っていてもありつける食べ物も美味しいでしょうけど自分でこうして体を動かし嗅覚フル回転させて見つけて食べるのは動物本来の習性から言えば、あるべき姿といえませんか?
 
犬が上げ膳据え膳で食べるごはんと獲物を自分で探し回って食べるのではきっと何かが違うのではないかなあということですね。

今ちょうど読み終わった本にそのヒントのようなものを見つけました。



この本は、覚醒している犬の脳を世界で初めてMRIで撮影することに成功したときの2年間を研究チームを率いるグレゴリー・バーンズさんがみずから綴ったものです。

MRIは磁気を用いた検査でレントゲンのような身体的な侵襲はないものの、大きな音と狭い空間に入ってじっとしていなければならない検査のため、人間でも受けられないケースがあります。
それを犬にどうやって実現したのか?という苦労のプロセスとMRIで得られた結果はもちろん素晴らしいです。
それと同時に、犬と人が二人三脚で次第に「ワンチーム」になっていくプロセスもワクワクするストーリーになっていて面白いです。

さて、犬のMRI(正確にはfMRIですが)でわかったことのひとつ。

  • 犬はもうすぐエサを食べられるという予告サイン(人の手によるサイン)を見たときに脳の中の尾状核という部分が活性化するということ。
  • 尾状核は良いことを期待しているときに活性化する部分で肯定的な感情の信号と解釈できるということ。

また、過去の研究から、嬉しいことが起こっているその時はニューロンは発火せず、嬉しいことが起こりそうな時に発火することがわかっているのだそうです。

つまり、エサを食べているその時よりも、もうすぐ食べられそうと予想している時に肯定的な感情が現れるということですね。

このことから、再び、「自分で獲物を探して食べる」という行動を考えてみると…
そこには、それが本来あるべき姿だからということに加えて、人間がばらまいた食べ物であっても、それを探しているときポジティブな感情を持って探しているのでは?

ばらまかれたエサを探さなきゃいけないなんて「犬もたいへんね。」と言った人がいましたが、それはどうでしょうね?


さらに、犬は「人の手の動き」に特別に注目して重視していることも、他の研究やMRI結果を分析することでわかっているそうです。

私は外で「ばらまきノーズワーク」をするときには、テルモに「さがして」と言うのと一緒に腕を伸ばして地面を指さす動作をしています。すると、テルモはさっと踵を返すようにして地面の匂い嗅ぎに取りかかるのです。
この「さがして」の声とハンドサインはテルモにとってポジティブな感情を生む意味あるサインになっているのかな?

そう思うと、見ているこちらもウキウキしてきますね。