DOGS AND BOOKS

人生は犬と一緒に歩いて身近な自然にかくれた秘密を探す旅。とくに犬に学ぶ旅は終わりのないライフワーク。

「もうひとつのキタキツネ物語」から

こんにちは。

しばらく、きよたKAZEラボ関係でキタキツネのお勉強などしてました。

 

うちの近所も、テル散歩の公園も、そして札幌市の中心地でさえも、キタキツネは普通に見かける動物になっています。

見かけても、カラスとかスズメとかとあまり変わらないリアクション^^;;

 

『ああ、いるわ…。』

 

それが良いんだかどうなんだか?と少しモヤモヤしますが、そのモヤモヤすら忘れ去られようとしている、北海道Uターン後3回目の春を迎えました。

 

この本を読んでました。

 

honto.jp

 

塚田英晴さん、いまは麻布大学獣医学部の野生動物学研究室の先生、バリバリ現役の研究者です。

キタキツネに傾ける情熱は並々ならぬものがあり、また、野生動物のフィールド研究ってすごいんだなあ!!と、驚きの連続。

観察したことと、これまでの先行研究と、さらにすごいと思ったのは、塚田さんは社会学的な考察もたいへん深くなさっていらっしゃる。

これまでの動物行動学研究者のイメージが、がらりと変わるような衝撃を持って読みました。

都市ギツネ(urban fox)と呼ばれるようになったキタキツネが、人の暮らしのすぐそばでそれらを巧みに利用して、したたかにたくましく生きている姿が、丁寧に詳細に記述考察されています。

 

本当なら、人とは関わらずにも生きていける能力のあるキツネが、少しずつ人の生活圏に近づき、うまくそれを自分たちのライフサイクルに組み入れいて生きていくそのプロセスを読み進めるにつれ、ある思いが浮かびました。

 

『イヌの祖先が、人に近づいたのもこういう感じだったのかな?』

 

終章までくると、キツネがわずか数年間の選択繁殖で人になつき、外見も白斑模様や巻き尾などに変化するという、ロシアの研究が紹介されています。

読み進めながら、別な犬の本で読んだその研究のことを思い浮かべていたので『お!やっぱり!』と。

 

塚田さんは、都市はキツネの新しい進化の舞台であるとおっしゃってこう書かれています。

 

都市ギツネの発生は、人新世におけるキツネとヒトの新たな接点を象徴する現象である。私たちヒトは、自分たちがつくりだした環境とキツネとの接触機会を通じて、無意識のうちに、彼らを私たちの隣人にふさわしい存在へとつくり変える圧力をかけ続けているのかもしれない。(p.273より)

 

まさに、イヌとヒトの歴史の再現であるかのようにも私には感じられました。

 

それにしても、本を読むにつけ、いまだに「犬の祖先はオオカミだから」という言葉を伝家の宝刀のように使うのに出くわすと忌々しくて仕方ないです。

それ言い出すときは、決まって自分たち人間に(だけ)都合のよい解釈で、犬の行動を説明しようとしている。

 

科学が嫌いというかたもいらっしゃるけど、動物のことを理解するには、科学はとてもたくさんのことを教えてくれる良いツールなのになあ。

逆に、それ以外の方法で、どうやって彼らのことを理解すれば?

自分ちの犬をよく観察することだって科学の目。

 

ただなんとなく人間仕様の思い込みを押し付けるだけでは、動物たちにはあまりにも不遜じゃないかな?

 

研究とか読むなんてめんどう?

でも、難しい論文読まなくても、塚田さんみたいに、ありったけのキツネ愛をぶつけて、誰にでも分かり易く解説してくれている本ってけっこうあります。犬の本にも。

 

私は、動物たちを理解するためには、出来るだけ最新の研究結果を参照している本を選ぶようにしています。そのために、できるだけ引用文献リストがある本を。引用文献リストがあるということは、著者の経験とか思い込みでなく、そこまでわかっている知見の集積をきちんと足がかりとして書かれている、ということの証のひとつになりますもんね。

なんせ、物言わぬ彼らですから。

 

ちょっと話がそれますが^^;

 

麻生大学のHPで、塚田さんのプロフィール等を拝見しました。

ティーチング・ポートフォリオが実に誠実で素晴らしく、それは本からもひしひしと伝わってきたんですが。

こんな先生のもとで学べたらさぞかし面白いだろうなって羨ましくなりました。

 

 

最近のテルさん

 

頭かくしてしっぽかくさず

 

膝の手術から3か月半。まだまだリハビリ中です。

もともと、フードを箱に入れたり、知育玩具に入れたり、床ばらまきしたりで食べていますが、最近は、庭でも(笑)

こんなふうに高さのない箱の奥にフード入れて、もぐって食べたりしてます。

ちょうど見えている左後ろ足が手術した足です。だいぶ毛も生え揃いました。足の付け根がよく見ると、うっすらツーブロ(´ω`*)

 

膝を深く曲げ伸ばしのリハビリになっています。

母ちゃんがテルさんの足を持って曲げ伸ばしする受動運動リハビリもやっていますよ。

 


そうそう。

きよたKAZEラボでは、今年の夏に、わたしたち人の暮らしとキタキツネとの程よい付き合いかたや、エキノコックスの正しい対策などについて、ミニ講演会を計画しています。講師は、塚田さんと同じように、あふれるキツネ愛をもって専門機関で多くの実践的な研究をなさっているプロフェッショナルのかたです。

北海道にお住いのかたは、エキノコックスについては耳慣れてますね。

予防対策など、知っているようでもいつの間にか誤って覚えていたり…しませんか。

散歩で立ち話したおじさんが、びっくりするようなことおっしゃってたこともあります。

犬を連れて自然豊かな場所を歩いているワタシ(^^)とか、犬のかいぬしさんは、いま一度、正しい対策を確認されて誤った噂などに翻弄されませんよう。もちろん、犬連れでないかたも…。

詳細が決まりましたら、またお知らせさせていただきます~。

 

今日も読んでくださってありがとう(。・ω・。)ノ♡&✌