DOGS AND BOOKS

人生は犬と一緒に歩いて身近な自然にかくれた秘密を探す旅。とくに犬に学ぶ旅は終わりのないライフワーク。

〇〇というベールに包まれた「支配欲」

こんにちは。

今日も気持ちの良いお天気になりました。

風が爽やか~。

北国の秋は駆け足なので寸暇を惜しんでテルモと楽しもう^^;;;

 

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ちょっとだけ暗い雲もあるけどね

 

『なになに?』と思わずそそられるタイトルの本を読みました。

 

honto.jp

 

裏表紙の紹介文を引用しますね。

 

家庭科は、自分の暮らしを自分で整える力だけでなく、この社会の中で他者とともに生きていく力を育ててくれる教科だと実感した著者は、自ら専任教員となる。ご飯の作り方、お金とのつきあい方、時間の使い方など自立にあたってどんな知識が必要か。10代の暮らしに沿って具体的にアドバイスする。

 

著者の南野忠晴さんは高校の英語教員でしたが、途中で家庭科の魅力を発見して、わざわざ家庭科教員を取り直したという方です。

それだけに家庭科が取り扱う「生活」というものへの並々ならぬ傾倒に終始圧倒されつつ読了しました。

岩波ジュニア新書ですから、中学生~大学生くらいまでのハイティーンを対象にした語り口。ですが、アラカン目前の大人が読んでも、ふと頁から目をはずして立ち止まって考えたくなる材料がそこかしこに散りばめられている本です。

 

特に終章の「ゆたかに生きるためのスキル」は頁をめくるごとに考えることが盛りだくさん。

そのなかでも、すぐに犬に結び付けちゃう悪いクセ的に『これだ!』と閃いたところ。

 

南野さんは、家庭科授業の中で、生徒たちに恋愛とDV(domestic violence)について考える機会を作っておられます。

高校生といえば、まだまだ恋愛と言っても互いに未熟と無知ゆえに、DVに近い関係にいても当人たちはそれとは気づかないでいたりするわけですね。

そこで、ワークや生徒への問いかけをしながら本人たちの気づきを促す授業。

 

そのなかでこんなくだりがあります。

 

DVの本質は「恋愛」というベールに包まれた「支配欲」です。

 

犬の世界の「支配性理論」がなぜなくならないのか?

先日、犬の学び舎でメンターから問いかけられました。

うう~ん、なぜだろう?自分はどうなんだろう?

かなり悶絶しました^^;;;

それは私も知りたい。だってそこがわかれば、それを変えられる糸口があるはずだから。

 

そのときは、自分はどうだったのかを振り返っていったん言語化しましたが、自分では十分には納得していませんでした。

 

DVのところを、犬へ「しつけ」という名の下に行われる体罰や虐待紛いの非人道的方法と置き換えてみると、腑に落ちるものがありました。

 

その不適切な方法を指導と称してやっている人たちの心にあるものは「愛情」なのか?

「犬のため」「しつけして飼い主家族と幸せに暮らすため」「愛の鞭」さまざまな愛情に見えるもの。

 

それ、まさに「愛情というベールに包まれた支配欲」なのか。

 

人間が相手でもその捻じれた表現が起こりうる。

犬にも同じなのか?

 

「支配欲」

それは、特別な人だけが備えた特異な欲求ではなく。

人間という種のなかには、それはあるのだという前提に立つ必要があるのかも。

だけど、それと愛情を取り違えてはいけない。

 

南野さんは、取り違えを予防する(=DV予防)には、お互いがまず一個の人間として自立することが大切というメッセージを授業を通して生徒たちに送られています。

 

これは、犬と人の関係にも当てはまる。

犬は犬という種として生きていることを理解する。

つまりは、犬という種を知るということ。

しつけという名のもとで、犬を自分の思い通りに人の都合の良いように変えようとすることへの警鐘を自分自身が鳴らせるかどうかは、そこにかかっているような気がする。

「犬を尊重する」と口で言うのは簡単。

だけど、そのために、具体的に生活のひとつひとつにまで落とし込んでやれるかどうかは…。

そこにこそ、飼い主の愛情の見せドコロがあるんじゃないかと思う。

『自分の子どもにそれやるだろうか?』と疑問に思うことは犬にも不適切。

そうつっぱねることが出来るかどうか。

まさに犬にとっては最後の砦。

 

 

本の中には、愛情というベールに包まれた「支配欲」のもうひとつの例として、娘を支配する母親のエピソードが出てきます。実話をもとに個人が特定されないよう改変されています。そのせいか、家族の会話などが妙に生々しく刺さります。

 

ティーンエイジャーのお子さんをお持ちの親御さんに、おススメしたい本です。

 

今日も読んでくださってありがとう。

ではまた。