こんにちは。
昨日の記事をFB経由で読んだドッグトレーナーさんが次のような主旨のコメント寄せてくださいました。
若い犬の好奇心旺盛はまっとうな発達。
できるだけ引き出してあげたい。
好奇心や同族の犬への興味関心や感情(ポジティブなものもネガティブなものも)はあってしかるべき。
まず、それを肯定的にとらえる。
そのうえで、それによって起こることについて(飛び出し、突進など)は「かいぬし」という人間界への案内人の導きを得て、互いに暮らしやすく徐々に馴染むように互いにコミュニケーションして折り合いをつけていく。
このプロセスがまさに、トレーニングでありしつけということなんでしょうかね。
好奇心や犬(やほかの人やもの)へ抱く感情じたいは否定しない。
ワッと一瞬飛び出しそうになっても
それを冷静に毅然と制止することを繰り返して、犬はふさわしくない行動を自ら抑制できるようになる…のかな。
そこに人がネガティブな感情を載せて怒号を浴びせるとか、蹴るとか叩くとかではない。
怒りの感情をぶつけられた犬は、やはりネガティブな怒りや恐怖の感情を持ちますよね。必要なのは「その行動は違う」ということを伝えること…
まさにコミュニケーション。
だから、このプロセスは、犬と暮らす時間のすべてのかかわりによって支えられているとも言える。
オビディエンスで見える行動は、「氷山の一角」であり、それ以外の暮らし方が水面下にあたる部分…
などなど、コメントを通じて、やはり人間仕様の「叱り」や嫌悪刺激は不要だなとあらためて脳内整理しました。コメントいただきありがとうございました。
今日は、こないだ読んだ本から…
テレビ番組に著者がリモート出演したりして、ずいぶん話題になりましたね。
遅ればせながらで読みました。
アンデシュ・ハンセンさんはスウェーデンで精神科医をされています。
「感情」について、アンデシュ・ハンセンさんは、感情があるのは生存するために必要な判断をすみやかにするためだと言います。
生命の危機に直面したとき、あらゆる情報を入手し精査し慎重に判断を下す暇はないと。
どういうことか?
それを視覚的直観的に理解しやすいページがあります。
第一章の冒頭、見開き2頁いっぱいに印字された一万個の点。
この点の一個一個が20万年前に私たちの祖先が出現し、進化してきた一代一代を表しているのだとか。
つまりこれらの点が進化の時間を表している。
このなかで、車や電気、水道などのある生活が始まったのは、わずか最後の点8個分。
インターネットやスマホ、SNSのある世界はたったの点1個分!
現代の私たちに至るまでの99%以上の時間は、それらがない世界に適応するために進化してきたということです。
そこで、さきほどの感情はすみやかな判断をするためだという説に戻ると
人間にとって、すみやかな判断が必要なときというのは、ほかの獣に襲われるとか、飢餓や干ばつや伝染病、またほかの人間に殺されるなどの危機が大半だったということ。
そんな時に、落ち着いて情報収集しじっくり判断していたら、とっくに獣に食われるか、殺されるかしていた。それが9999個の点の進化の方向性だったわけ。
だから、瞬時に恐怖の感情にしたがって逃げるか闘うかしなければならなかった。
行動に先立つ感情は命を守るために重要なアラートでもあったということですね。
ほーなるほどー!(◎_◎)
さて、ここで犬学的変態さんは、ふと思うのです。
犬は?
本はもちろん人間の進化について書いています。
犬ではない(*´з`)
でも、犬もとても良く似た状況におかれているんじゃないかな?
人間と収斂進化したとも言われている犬。
人に近づいてきた、または、人が犬の祖先を招き入れたかはまだ証明された定説はありませんが…。イヌの進化は3万年前とも1万5千年前からともいわれている。
このページみたいに何万個かの点を打ったとして、今のように、犬が人と同じ住居内で暮らすようになったのは、人間のスマホと同じく、最後の点の1個分程度に過ぎないのでしょうね、きっと。
だとすれば、犬も人と同様に感情は重要。
他の動物や犬たちの動向に常に関心を寄せることも、生存の可能性を高めるためにも必須だった。
まして人間と共存する過程で、番犬や家畜をまとめたり守ったりするために、そのような性質を人が意図的に選択繁殖させてきたのだから、なおさら。
そんなふうに考えることができる。
生き延びるために生物が進化の過程で自然にかけてきた選択圧と人間が意図的にかけたプレッシャー。
そう考えると、ますます、犬たちの行動に理不尽なやり方でそれを修正しようとすることには賛成できない。
「スマホ脳」では、人間が長い時間かけて進化させた様々な脳、神経、内分泌系の機能が、獣や他の人間に襲われる確率が減った現代において、いかに不都合であるのか。
多くの論文をレビューして展開していきます。
そこにスマホやインターネットの出現が、その不都合さをよりいっそう増幅させることになっていることなど…。
スマホやSNSによる影響について、なんとなく誰もが危惧している感触について、冒頭の一万個の点からの解釈があるおかげで、より「なるほど感」が高まります。
スウェーデンのみならず、世界中のメディアがこぞって取り上げたくなる気持ちは十分に納得できました。
が、しかし。
私は、ちょっとモヤモヤが残りました。
というのも、ハンセンさんが何千を超える膨大な研究結果をレビューしたと書かれているので、『そうなんだろうな。』とは思います。
が、それら論文の一本もリストされていない。
前著「一流の頭脳」で世界的ベストセラーになった著者だし、みんながこれだけ好評しているから、嘘はないのだろうと思います(≧▽≦)
でも、逆に言うと、著者の主張を証明するものはそれしかないわけです。
精査した文献リストを載せたら、それだけでもう一冊できるぐらいの分量があるのは想像できますが、それでもやはり読者としては気になるところ。
そこにリストがあったからと言って、それを辿る読者はごくわずかでしょうが、この本の内容はそうした裏付けが必要な部類の本ではないかと思います。
そこは、編集さんと出版社さんが常日頃から持っている「読者との対峙のしかた」ともいえるかもしれません。『売れる本を作りたい』という俗心との闘い?と言い換えても良い?(^_^;)
せめてリストのURLを貼るだけでもよかったのになあ…
でも、前半部分の生体のストレス反応に関する生理学的進化生物学的説明は非常にわかりやすく、解剖生理学の初学者がホリスティックに理解するのに良い教材だなと思いました。
そのあと続くSNS批判は、『どんだけFacebookを悪者にしたいの?』とちょっと飽きてきて中だるみしますが、終盤の今を生きる現代人への教訓というところでまた盛り返します(^_^;)
ま、ひとことで言うと「便利な道具も使いよう」ってところかな(ああ、身も蓋もない)(∀`*ゞ)エヘヘ
まだの方は、一度お読みになってみてください。電子書籍版も出ています。
あと3年ぐらい経って読むと、さらに研究が進んで「ああ、こんなこと言ってたんだねえ、昔はサ。」と笑っているのかもしれないので、読むならイマ!な一冊かも。
科学は日進月歩です。
今日も長文を読んでくださってありがとう♡
では、また。