DOGS AND BOOKS

人生は犬と一緒に歩いて身近な自然にかくれた秘密を探す旅。とくに犬に学ぶ旅は終わりのないライフワーク。

オランウータンの模倣学習から考えた

こんにちは。
今日も時々パラパラ雨ですっきりしないお天気です。
2~3日前にマクロレンズで撮ったお花。
イヌタデ
イヌタデかなあ。マクロレンズは縦に長いお花は苦手

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昨日またひとつ溜まっている録画を見ました。

 

インドネシアカリマンタン島で親と離れてしまったオランウータンのみなしごたちに生きる術を教えて森に返す「オランウータンの学校」の記録番組です。
オランウータンの生息数はどんどん減っていて100年前の5分の1。
減少の理由はパームオイル用農園を作るために森を切り開いたことや食用としての乱獲や農園の害獣として殺されたことなどだそうです。
(ヤシノミ洗剤ってエコっぽいけど、あまり喜べないのかなあ?)
オランウータンは人間に次いで長い期間、親が子を育てる動物なんだそうで、なんと8年間も!

当然、この期間に子どもは親からたくさんのことを学ぶわけです。
それらをこの学校では人間が教えているのです。

  • 道具を使う知恵
  • 仲間とのつきあい方
  • 食べ物や水をみつけること
  • 木の上で寝床を作ること

などなど。

その学校でオランウータンに何かを教える時に模倣学習をさせている場面がいくつか出てきます。

例えば、朽ち木の中にいるアリを食べ物であることを教える場面。
一頭のオランウータンの子を抱っこして、人がアリを指で摘んでオランウータンの口に持っていきます。それを食べられると思わないオランウータンは顔を背けています。
食べられるものとそうでないもの、本能的に分かっている訳ではないんだ~。それでも朽ち木の中を歩くアリやさなぎを見せているうちに、やがて口をつけて食べ始めます。
すると先生は、その子どもオランウータンをアリの入った朽ち木と一緒に、他の子どもたちのところに連れて行くのです。他の子どもらは、そのオランウータンが朽ち木のアリを唇で上手につまんで食べているのを見て真似をし始めます。
こうやって、模倣学習を通してアリは食べ物になることを教えていました。

また森にいる危険な動物についても教えなければなりません。
そこで、先生たちは、へび(実はゴムでできたおもちゃ)の入った袋を人間の先生たちに向かって放り投げます。するとへびを突然投げつけられた先生たちは、みんな大きな悲鳴を上げて怖がって逃げまわって見せるのです。
それを見たオランウータンの子どもたちは何事かと戦々恐々として互いに抱き合って遠巻きにそれを眺めています。
すると、先生は今度はへびをそのオランウータンたちに持って近づいて行くのです。
もちろん、子どもたちもギャーギャーと大声を出して逃げまどう。
こうして、蛇の姿を恐怖とともに深く焼き付けるのだそうです。

母親とともに生活していれば、母親や他の大人オランウータンたちの行動を見ながら、こうしたことを覚えて、真似しながら学んでいくのでしょうね。

真似する=模倣学習は社会的な学習の仕方。


さて、我らが愛するコンパニオンの犬はどうでしょう?
人間の行動を観察する天才の犬。
高度な社会性と認知能力をもつ犬。
その犬に「お手本になるようなふるまいを見せよう」というのは、私が学ぶ犬の学び舎のひとつの大きな特徴でもあります。こんな考え方は、きっとほかではあまり見られないかもしれない…
でも、それは「犬という種」を知れば知るほど、あって当然の考え方だと思っています。
だからと言って、穴掘りやマーキングや犬式挨拶などを人間の私たちが教えることはできませんけどね



人の一挙手一投足をつぶさに観察しながらそれらが危険のないものなのかどうか判断をし、自分も真似してみる、そんな感じなのかな。
こういうところからも、犬を変えようとするよりもまず自分から…
ということは納得が行くんですよね。