DOGS AND BOOKS

人生は犬と一緒に歩いて身近な自然にかくれた秘密を探す旅。とくに犬に学ぶ旅は終わりのないライフワーク。

探索欲求を満たす散歩と

つつじとテルモ
黄色いつつじが散り始めているけど綺麗です。
『オレは花はとくに…。』
そりゃそうですねえ。



テンプル・グランディンさんの本には


犬は、オオカミの血を引いているので、「探索」の欲求が強い。オオカミは放浪する動物で、日中に知的な刺激をたくさん受け、一日に何度もさまざまな決断を下す。(85頁より)


わかるなあ~
こちらに来て、自然豊かな林の中をぶらぶら歩くようになってテンプルさんのこの文章の意味がより一層実感を持って理解できます。

昨日もキタキツネの跡を追って生き生きとしていたテルモ

昨日、犬の学び舎のお仲間さんとTwitterで「獣臭の時は嗅ぎ方が違うね」というやり取りをしました。
それで今日は何が違うかなあと改めて注意して見ました。

公園に入り、林が近づくと探索スイッチが入りました。
よく見ると活発になるのは嗅覚だけじゃないみたい。
ターゲットが遠くにあり、しかも移動しているせいかもしれないですね。
道端の匂いを探すときは頭をさげるけど、獣の気配を感じたときは視覚も使っているようです。
頭を上げて前を向き、同時に耳も根元から前に向かって立ち上がっています。
目で探し、ターゲットの立てる小さな音も拾おうとしているようです。
そして、足取りが力強く速くなる。
リードがついていなかったら、いち早くターゲットに向かって走って行ったはず。
アップダウンのある凸凹獣道だったので、リードを持ってどうにかこうにか着いて行きました。
それでも、途中で何度かテルモを止めないと転びそうに…

すると、5m程前方をやはりキタキツネが走って横切って行きました。
しかも今日は2頭いましたヨ。
テルモもその姿を捉えていたので、しばし追跡していましたが、もちろんキツネの姿は見えなくなりました。


都会のドッグトレーナーさんは、きっと、こんな散歩は「けしからん!」な人もいる?
犬が飼い主を従えて獣を追いかけるなんてって

そうかなあ?
犬が動物らしくいられる時間ってどのくらいあるでしょう?
今日のこの「狩り気分」だって、たかだか10分あったかどうか…
散歩全体だって1時間かせいぜい2時間。

犬の一日が人間と同じ24時間かどうかはわかりませんが、その1割にも満たないような時間しか外の空気を吸えない。しかもその貴重な探索の時間を始終人間の指示どおりにしていなければいけないですか?

リードをしないで自由に歩かせることは、この国では無理だけれども、だったらせめて動物らしい行動を保障してあげられる機会を。

ただし、それには人間のほうも少し技術と知恵を蓄えないといけないのかも。
犬の行動を邪魔しない、だけど犬にも自分にも周囲にも危険の及ばないようなリードと体と心の使い方などなど。
そして、ここぞと言う時にはむしろ躊躇なくしっかりと犬に言うことを聞かせられなければいけないですね、体罰や恫喝などの人間仕様の嫌悪刺激を使うことなしに。それができて初めて異種の犬と人が信頼でつながるということなのかなと。嫌悪刺激を使って言うことを聞かせるのは単なる支配に過ぎないでしょう?

異種の生き物と互いを尊重しながら共同生活をするっていうのは、なかなかに大変なことだけど、それが動物と暮らす醍醐味かな
遠い目標に向かってコツコツと毎日を積み上げていくプロセスそれ自体が犬と暮らすということ。

再び、テンプルさんの本から

 飼い犬には人間、遊び、探検して学ぶ機会がたくさん必要だ。しかし、自分では手に入れることができない。
 これを与えてやるのは、飼い主の務めだ。(87頁より)