DOGS AND BOOKS

人生は犬と一緒に歩いて身近な自然にかくれた秘密を探す旅。とくに犬に学ぶ旅は終わりのないライフワーク。

犬の社会的順位を考えてみた

朝ん歩のときに木瓜(ぼけ)の花の写真を撮りました。
ぼけの花1
木瓜はひとつの株に違う色の花が咲くのですね。
混み合った枝に満遍なく花がついて賑やかで可愛らしい

今日の夕散歩であったちょっと失敗したかなって思ったことを書きます。
長くなります~


今日はじめましての白い和犬さんと会いました。
テルモと同じくらいの体格、紀州犬かしら?


少し離れた位置で女性二人連れの飼い主さんにご挨拶してすれ違おうと思ったのですが、テルモが和犬さんに向かって振り返って立ち止まりました。
和犬さんも振り返ってこちらを見ています。
互いの距離は2mぐらい?

テルモは背中の毛を逆立てて、首を反らせて頭を高く掲げてまっすぐ相手を見つめながら近づこうとしています。
しっぽは毛羽立って太くなって高く立てています。
あまり友好的なサインではないのでこれ以上近づかない方が良いと思い、テルモを止めていると、一声「ガルル~ワン!」と少し前脚をあげて小さい唸りからの吠え。
和犬さんのほうも胸を反らせてまっすぐテルモを見ながら低く小さく唸っています。

その時、お二人がテルモを見て
「かわいい~!」とおっしゃってこちらに近づいて来ようとしました。
私は少し慌てて
「かわいく見えたかもしれないですけど、今は犬同士は近づけないほうが良いと思います
と伝えました。

お二人はそこで立ち止まってくださってホッ
でも私の言葉に驚かれて無言になられて…『なんで?』という表情
それで私も説明しなくちゃと
「今、頭もしっぽも高くして臨戦態勢で…両方とも胸を反らせて姿勢が高くなっているので…。また、お会いしましょう、ありがとうございます。」と。
テルモ、おいで。」と言い舌でチッチッチっと音を鳴らすと一瞬遅れてテルモがこちらに来てくれたので「よし!いい子!」と言いそのまま歩き去りました。
先方も和犬さんを連れて「それでは。」と立ち去ってくださいました。

でも、その後、私は
『臨戦態勢』っていう言葉は違うなあ~って
必要以上に先方の飼い主さんを怖がらせてしまったかもしれない

争いを避けるための行動っていうほうが正しかったのになあってちょっぴり後悔。

犬もほかのあらゆる動物と同じで社会的順位があると思うんですね。
でも、だからってそのためにいつでもいきなり取っ組み合いの喧嘩を始める訳じゃない。
この時もそう思っていました。

社会的順位の話をするとすぐに思い浮かぶのは支配性理論です。
これ自体は否定されているし、ましてや犬と人の関係に持ち出してきたり、トレーニングで人が優位に立つための理由にするのは明らかに間違いです。
だからと言って犬に社会的順位はないという考えもどうかなあと思っています。

多くの動物には順位があって犬も例外ではない。

社会的順位についてはマーク・ベコフさんがとても詳しく分かり易く書いています。



第4章「犬社会の掟」というところで30頁に渡って、色々な研究者の意見も参照しつつドッグパークで観察した犬たちの様子にもとづいて説明しています。
私自身もテルモの様子を見てて感じることとすごく共感できるところが多いです。


その中からひとつ引用します。

2頭の犬が唸りあったあと、そこでの地位を受け入れてお互いに唸りあったことを少しも気にせず公平に楽しく遊ぶ、という光景をよく見る。…中略…
人が犬の間にある順位を誤解したり、順位がないと考える理由は、優位の犬がめったにあからさまに攻撃的、脅迫的、あるいは傲慢な行動をとることがないからだろう。順位は普通とらえにくく、目に見えて無礼な行為として表れることはない。(124頁より)

社会的順位についてはまた改めて続きを書いてみますね~。


マーク・ベコフさんの本、ほかの章も面白いのでぜひ読んでみてくださいませ~