カヌーイスト野田知佑さんの相棒犬「ガク」の本を2冊借りて来ました。
ほかにもう一冊借りて計3冊ですが、残り1冊の紹介はまたいずれ…。
30年ほど前、私は椎名誠さんの大ファンでして大の大人たちが集まって行く痛快珍妙な旅紀行を読むのが大好きでした。
その珍妙な旅仲間の一人が野田知佑さんであり犬のガク。
私の実家では、小学校5年生から捨て犬出身の10㎏弱の雑種犬エル(メス)を飼っていました。
椎名さんの本を読み始める頃にはエルは亡くなっていましたが、のちにガクを知ったとき、その毛色や顔がとてもエルに似ていてびっくり。
ガクは20㎏なのでエルよりずっと大きいけどね。
そんなわけでガクには不思議な愛着を持っていましたし、野田さんがユーコン川を下って北極海を目指す紀行本も憧れをもって読んでいました。
その後、「ガクの冒険」という映画を椎名さんが作ったことも知っていましたし、やがてガクが亡くなり本になったことも知っていましたが、読んではいなかったんですね。
それが、この度、北海道に戻って来てひょんなことからガクの本を読んでみようと…。
写真集なので、読んだというか見ましたという感じですが、ところどころに添えられた野田さんの文章も素晴らしかったです。
引用したらネタばれだから控えたいところですが一か所だけ。
ムツゴロウさんが登場する箇所があったので「さらば、ガク」からご紹介を…
野田さんと椎名さんがガクの思い出話をしているところから。
ガクは野田さんとのカナダでのカヌー川下りの大冒険から帰ってくると、必ず椎名さんの手を優しく噛むので、ガクの犬歯が椎名さんの手にいつも触れる。そして椎名さんの手を噛んだまま顔を見てハーハー言うのだそうです。それがどういう意味がムツゴロウさんに聞いてみたといいます。
ムツゴロウさんは「犬は口がきけないから、いちばん敏感な、そしていちばん力の象徴である犬歯で、あなたの腕に報告しているんだよ。だから、ガクの報告をあなたは聞いてあげなさい。」と。
さらに椎名さんは
僕にとってのガクの犬歯というのは、僕の肌にいつも触れていた、友情の最高の接点なんだよね。
と語っていらっしゃる。
そういう訳で、ガクの死後、椎名さんはガクの犬歯を野田さんからもらったそうです。
ここを読んで、私は遊びが盛り上がってくるとテルモがそっと私の腕を咥えて来ることを今まで以上に嬉しく感じました。興奮して噛むふりしてくるテルモの犬歯。
じわじわと犬と暮らす面白さにひたる夜です。
ぜひ、ガクの本、機会がありましたら読んでみてください。