こんにちは。
先週末、異様に気温が上がって、犬のお仲間さんたちみんな散歩時間調整に四苦八苦していました。それ以外の日は雨続きで、止み間を探して『いまだ!それっ』と散歩に出るので、犬のお仲間さんといつもの時間帯に一緒にぶらぶらする機会がめっきり減っています。
以前だったら、いまが風の気持ち良い一番爽やかな季節だったはずの北海道です。
「キツネとエキノコックス」セミナーは順調にお申し込みをいただいております。
感染予防のために、会場参加は20名限定ですが、まだ少しお席に余裕がありますので、ご興味あるかたはぜひ会場へお運びください。
当日は、運営協力をしてくださる「命と自然の学生基地」のメンバーさんが、彼らの活動をミニ展示してくれる予定ですので、そちらもご覧いただきたいです。
また、セミナーチラシ裏面でのキツネ情報募集が、わたしたちの予想をはるかに上回って情報を寄せて頂いております。本当に有り難い限りです。
キツネがひとの暮らしに近づいていることに対して『このままではいけないんじゃないか?』という問題意識の現れではないかと分析しています。
ただ、私もそうであるように、このままでいけないとは思っても、では、「私たちはいつどんな行動をするのが良いのか?」は、今一つはっきりわからない…そんな戸惑いにも似たご意見も多く寄せられています。
会場には、講師の浦口宏二さんのほか、同じくキツネとエキノコックス研究者の池田貴子さんもいらっしゃるので、専門家と住民を交えた意見交流などができたらサイコーだなと思っていますが、さてどうなりますか…(^^)
行政のかたなどもお越し頂けると、さらに建設的ディスカッションへの展開などもあるのでは…?などと夢想しますが、そこまでは欲張りすぎでしょうね?( *´艸`)
もちろん、オンラインからの参加も大歓迎です。
さて、表題の「アロケミカル」、こちらの本で初めて知った言葉です。
キツネの糞尿の匂いがネズミの行動に影響するような場合、異種間で匂い物質が授受されるため、フェロモンとは区別してアロケミカルと呼ばれる。このアロケミカルについては、送り手と受け手のどちらに利益があるかで、アロモン(送り手に利益)、カイロモン(受け手に利益)、シノモン(両者に利益)に区別される。(p.254より)
キツネの糞に含まれる匂い成分のひとつが、ネズミに強い忌避反応を引き起こすことが突き止められているそうで、この匂いを嗅いだネズミはすくみ反応、ストレスホルモンが増加、穴埋め行動などが見られるそうです。
また、この匂い成分が伝わる回路は、生得的反応を制御する回路と、学習による後天的反応を制御する回路の両方で伝わるのだそうです。この制御システムがあることで、一度嗅いだこの匂いのあるところは避けるようになるということらしいですね。(以上、第6章中の「3.益獣としてのキツネ」内、「匂いによる天敵効果のメカニズム」より要約)
ヒトは、嗅覚刺激の判別に関しては動物にはとても及ばないです。
進化の過程で失われたシステムなのでしょうか。
このアロケミカルを知って、ふと思ったことがあります。
テルモがキツネの気配をキャッチして興奮しているときの写真。
テルモは、札幌に越して来て初めてこんなふうにキツネと遭遇する経験をしました。
初回から、ほかの犬と出会うのとは明らかに異なった反応を示していました。
犬とキツネの間で、アロケミカルが働いているのかどうかはわかりません。
もし、そういった匂い成分がそれぞれの種ごとに、さまざまな組み合わせがあるのだとしたら・・・?
はじめて出会う動物相手に、なぜこんなふうに明らかに同種の犬とは違った行動を示すことが出来たのか?それが謎でした。その謎を解くカギはもしかしたらアロケミカル?なのでしょうか?
もしかしたら、生得的な嗅覚刺激を伝達する回路が活性化したのだろうか…
忌避すべきなのか?それとも追うべきなのか?それとも追い払うべきなのか?
さらに、そこには学習性の回路が機能するというところも、不思議を感じませんか。
5年ほど前に、鷹匠のかたのお話を聴いたことがあります。
そのとき、こんなことをおっしゃっていたのを思い出しました。
親鳥から分離して完全に人の手で孵化させて育てた鷹のヒナは、人間を親と思うだけでなく、成鳥になってから人間の手を交尾相手として認識するのだそうです。だから、ひとの手に交尾しようとする、と。
そのお話を聴いたとき、鷹匠に飼われて一生を終える鷹のなんとも悲しすぎる性にとてもショックを受けました。と同時に、繁殖行動という極めて本能的に見える行動にすら、そんな制御のバグが起こる余地があることに驚いたものです。
生きものって、知れば知るほど謎が増えますね。
だから面白い~。
今日も読んでくださってありがとう(。・ω・。)ノ♡&✌